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クノッソス (クレタ島) [ギリシャ]

Knossos
イラクリオンから約5km南東、紀元前2,000年頃のミノア文明中心地であったクノッソス。
ミノア人が強力な交易船団を持ち、海洋王国を築いたのもこの時期だと言われています。
クレタ島には、青銅器時代中期に大きな宮殿がいくつか存在し、その中でもクノッソス宮殿は大きさだけでなく、技術的・美術的にも優れていたと言われています。

クノッソスへはイラクリオンからバスで20分ほど。
バスを降りた側は、お土産物屋が建ち並び、その反対側に入口があります。

クノッソス宮殿跡 - The Palace of King Minos -
幼い頃に読んだギリシャ神話のミノタウロス伝説が、長年脳裏に残っていたのがクレタ島に興味を抱き、クノッソスを訪れるきっかけでした。ミノス王が建てた、一度入ったら二度と出て来れない迷宮・・・ そして、それが世界最古の迷宮で、神話ではなく実在した宮殿となると、個人的に見ないわけにはいけません。
 
               - クノッソス入口 -

クノッソス宮殿の特徴は、王、役人、祭司の住居や統治の拠点で、行政と経済の中心であり、また宗教的な意義を持ち合わせていたため、大きく分けると中央にある中庭を境に、祭祀室と公式な国務行事用の部屋が連なる西エリア、家屋や作業場が集まる東エリアに分かれています。

>>西側より
入口を通り抜けると、石畳の西の庭に出てきます。左手には円形のクルーレスと呼ばれるものが3つあり、右手には祭壇や検問所、守衛室跡が並びます。
 
      - クルーレス -            - 検問所や守衛室跡 -
クルーレスからは、宗教儀式で使われ粉々になった土器や家屋の遺物、また崇拝用の聖なるヘビを飼っていた管状の器が発見されています。

>>南側
宮殿玄関前に行列のフレスコ壁画の廊下があり、その奥に正面玄関があります。
 
クノッソスにある壁画は全てコピーのため、色鮮やかに復元されています。オリジナルは修復されてイラクリオンの考古学博物館にあるので、クノッソス観光は考古学博物館と合わせた方が深く楽めると思います。
行列の壁画は、ほぼ等身大の男女が、女王又は女神とみられる女性に献上物を運ぶシーンが描かれていることから、名付けられたそうです。

聖なる角の横を通り、その奥にユリの王子の壁画があります。
牡牛の角がシンボルとなっている聖なる角は、神々しくクノッソスの大地に映えていました。
 
                  - 聖なる角 -

ユリの王子 - Prince of Lilies -
 
ユリと孔雀の羽の冠とユリをかたどった数珠からなる黄金の首飾りを身につけている壁画です。原画はわずかな部分しか残っていなかったため、随分修復されているそうです。実際、考古学博物館で見た原画は、上半身や左足部分が欠けていて、植物の絵や黄色い色分けなどなかったので、よく出来た再現画だと思いました。
左手に持っている紐の先がかなり気になります。

かつての宮殿の部屋数は1,200以上だったそう。建物は二層から三層の複雑な構造で、地形によっては四層部分もあり、下の階まで採光する設計になっている精巧さに驚きです。
 

王座の間の上には、多くの絵が飾られていました。
 
その中でも、左下の「牛の上のアクロバット」という絵が有名です。雄牛の角を捕らえ、背の上で2回転宙返りをし、反対側に着地するという当時人気が高かった競技だったそう。闘牛とは違い、雄牛は聖なる動物であったため、崇拝の行事を成していると考えられています。それにしても、一度そんな器用な競技を拝見したかったです。右下の王座は、雪花石膏製の椅子。
 
原画はイラクリオンでの考古学博物館の紹介で載せています。 
※考古学博物館にあるクノッソスの原画はガラスで覆われていて、上の天窓から差し込む光が反射し、なかなかカメラでは上手く撮れません。

王座の間 - Throne room -
 
身を清めるための聖水が入った水盤が真ん中にあり、壁にはグリフィンという空想の野獣が描かれています。野獣と言われるには優美で可愛いい絵でした。グリフィンは神が持つ3つの要素を象徴すると信じられている絵で、鷹の頭が天空、ライオンの体が地上、蛇の尾が冥界を現します。
この奥には、断食や修行のためにこもったと考えられる聖堂があります。部屋は暗く、石製のランプが1つ灯されているだけだったそうです。
王座の間と、その上の部屋だけベースの柱の色が黒で、その他の柱は赤中心に復元されているところが気になります。

人より大きいかめ
 
穀物やオリーブ、油、小麦などが、このかめの中で保存されていました。見事な形です。
貯蔵庫とされていた場所には、中型サイズのかめが多数発見され、考古学博物館に展示されています。

>>東側
壁にはミノス王の家紋とされる「双刃の斧」が描かれていて、王が使っていた双刃の間や、イルカの壁画で有名な女王の間があります。
 
女王の間の浴室には浴槽や水洗トイレが備わっていて、上水道の粘土管も見つかっている等、すでに排水施設を持っていたことに驚かされます。

>>北側
訪れる前から、この雄牛の浮き彫り壁画を楽しみにしていました。ただの壁画ではなく、浮き彫りというところに関心を持っていましたが、壁一面に描かれていた復元図を見て、それが壁一面に描かれていたと想像すると、かなり荘厳で豪勢だったのであろうと思わされます。
 

ミノア建築の特徴は、石膏石で出来た土台に木製の柱、ぎっしりと石が敷き詰められた壁です。
 

宮殿跡地にもネコや孔雀がいました。人間を怖がることなくゆっくりと近づいてきて、カワイイなぁと思っていたら、真隣で背を向けて座られてしまいました。
 

クノッソス宮殿の魅力は、ここまで高度な文化で壮大な宮殿にもかかわらず、城壁がなかったというところが(他のミノア文明時代の建物も同じよう)、外敵からの侵入に恐れて暮らすような大きな争い事はなく、どの壁画も人々の生活や宗教的なもの、植物等、優雅さが感じ取れるものばかりで、人々が平和に暮らせる確立された神聖な場所だったんだろうなぁ、と思えるところです。

旅の参考文献
   
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