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ピアッツァ・アルメリーナ (シチリア島) [南イタリア]

Piazza Armerina
帝政時代の大富豪貴族の「カサーレの古代ローマの別荘」がある街、ピアッツァ・アルメリーナ。
そこにはローマ時代のモザイクの傑作と、当時の最新設備であった浴室跡があります。

ピアッツァ・アルメリーナへは、パレルモからアグリジェント観光と合わせた一日ツアーに申し込みました。が、申込者が他にいなかったため、車一台チャーター状態に。壮大な山・丘で、伸び伸びと育てられている馬・牛・ひつじ・やぎ達の景色を望みながら、少し彼らがウラヤマシイなぁ、と思いつつ車で走り続けること2時間、モザイクの街ピアッツァ・アルメリーナに到着。
 

カサーレの古代ローマの別荘 - Villa Romana del Casale -
マクシミアヌス帝とその家族の為の狩の宮殿として、紀元後3~4世紀に建てられました。退位後は、居住地にしたそうです。(マクシミアヌス帝は、当時の特殊な統治体制であった2人の正帝と2人の副帝による四分政治の正帝の1人として、帝国の西半分の地区を統治していました。)
 
カサーレの別荘は、プールのような噴水を囲む建物に、約40室の部屋が設備されています。

入り口
暖房システムが設置された冷浴室・微温浴室・高温浴室・冷水浴室は、ちゃんとそれぞれの温度に分けて管理されていたそうです。現代のスパでも、ここまで振り分けられた設備がそう存在するでしょうか。
 
               - ボイラー室 -

冷水浴室に隣接して香油の部屋があり、そこにマッサージをしているモザイク装飾があります。私のようなオイルマッサージ好きには、共感できる装飾かもしれません。その絵の周りには香油瓶を持ってたり、掃除をしている奴隷の絵がありました。
  
      - 冷水浴室 -               - ぺリステリウム -
ペリステリウムは宮殿の中核をなし、この周囲に全ての主な部屋・公務室・私的環境が配置されています。伝統的な先祖礼拝の祈祷所で、小さな部屋に祭壇と彫像が飾られていたそうです。
 
偉大なる狩の廊下
60mにもわたるモザイク装飾で、この別荘での一番の見ものだと思います。狩の様々なエピソードが描かれていて、ローマ帝国の猛獣の捕獲や、猛獣を格闘技に使うためにローマへ輸送するシーンなどがあります。
    
       - ん~、すごさが画像でわかり辛いところが悲しい・・・ -
 
2人の護衛兵に守られる別荘の主マクシミリアヌス帝と、猛獣がローマへ輸送される場面
 
 
ビキニ姿の少女が10人描かれている部屋があります。学者の意見では、この絵は水泳の後に行われた体操、もしくは直接水中で行われた体操ではないか?等という意見が。私には、”古代オリンピック 女子の部”に見えました^^;
左端の上の女性はほぼ欠けていますが、円盤を投げようとしている姿があったそうです。壁には、他の部屋と同様、ほとんど見えないフレスコ画の跡。
 

大食堂の間
ヘラクレスが放つ水蛇の血塗り毒矢を避けようとしているゼウスに抵抗する5人の巨人を退治するモザイク装飾。
 
筋肉の凹凸などもグロテスクな感じで描かれていて、なんだか床から出てきそうな勢いでした。

少年と狩猟者の寝室
皇帝の息子マクセンティウスの寝室で、元は両側に大理石の柱があったそう。装飾床は2種類あり、どちらとも3段に分かれています。下記の画像は、この部屋の名前にもなっているモザイク装飾で、花や実がたわたについた枝を背景に、狩猟をする若者が描かれています。 
  

ユリシーズとポリュペモスの控えの間
ホメロスのオデュッセア第9巻のエピソードが描かれています。エトナ山中の岩に掘られた真っ暗な巨人の洞窟の中央に、伝説通り額に第3の目を持つ怪物ポリュペモスが岩に腰をかけ、膝には引き裂かれた牡羊を抱えています。第3の目は、エトナ火山の火口のシンボルであるとされているそうですが、のちに巨人は一つ目で描かれるようになったそうです。ギリシャ神話は想像力が惹き立てられます。
 

皇帝の寝室
壁にはバッカス神の巫女とサテュロスを描くフレスコ画。床のモザイクには、愛の交歓シーンが描かれています。
          
愛は永遠に不滅!?この部屋のモザイクは綺麗に残っていました。

皇帝の后の寝室
床のモザイク装飾はいろんな果物が描かれています。キッチンではなく寝室に描くなんて、果物を好む方だったのでしょうか。
 

全てのモザイクを鑑賞しようとしたら、かなりの時間が必要な別荘跡地です。見応え充分なモザイクの数々。こんな細かい作業をどれだけの人が、どれだけの時間を費やした事でしょう。そして、60mものモザイク装飾が完成した瞬間、製作者達はどんな気持ちだったのでしょう?小山に囲まれたピアッツァ・アルメリーナに潜んだモザイク装飾から、その中に描かれているエピソードに加えて、それらを製作した人々の生活や感情など、いろいろ想像させられる、そんな場所でした。機会があれば、もう一度ゆっくり鑑賞したいと思っています。

旅の参考文献
   
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